アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式⑯Cauchy問題の解の存在

前回、前々回はCauchy問題の解を構成するためにGreen関数というものを構成しました。

そのGreen関数

H(t,x)=\frac{1}{2\sqrt{πt}} e^{-\frac{x^2}{4t}}

を用いてCauchy問題のu解は

u(t,x)=\int_{-∞}^∞ H(t,x-y) a(y) dy

と書けました。

今日は逆にこの解uがCauchy問題

(1) \frac{\partial u}{\partial t}(t,x)=\frac{\partial^2 u}{\partial x^2}(t,x)(t≧0,x\in R)

(2)u|_{t=0} a(x) ,  (x\in R)

 を満足することを確認します。

 

定理(Cauchy問題の解の存在)

a=a(x)を有界な連続関数とするとき、

Cauchy問題の有界な古典解は一意であり、それは

u(t,x)=\frac{1}{2\sqrt{πt}}\int_{-∞}^∞e^{-\frac{(x-y)^2}{4t}}a(y) dy

の形で与えられます。

また解ut→∞aに広義一様収束します。

証明

u(t,x)=\frac{1}{2\sqrt{πt}}\int_{-∞}^∞e^{-\frac{(x-y)^2}{4t}}a(y) dy

について、変数変換

ζ=\frac{y-x}{2\sqrt{πt}},\frac{\partial ζ}{\partial y}=\frac{1}{2\sqrt{πt}}

を行うことにより、

u(t,x)=\frac{1}{\sqrt π}\int_{-∞}^∞ e^{-ζ^2} a(x+2\sqrt{t}ζ) dζ

が得られます。

\int_{-∞}^∞ e^{-k^2} dk= \sqrt π

より、

a(x)=\frac{1}{\sqrt π}\int_{-∞}^∞ e^{-ζ^2} a(x) dζ

u(t,x)-a(x)=\frac{1}{\sqrt π}\int_{-∞}^∞ e^{-ζ^2} \{a(x+2\sqrt{t}ζ)-a(x)\} dζ

となります。

十分大きな正の数Rを用いて

I=\frac{1}{\sqrt π}\int_{|ζ|≧R} e^{-ζ^2} \{a(x+2\sqrt{t}ζ)-a(x)\} dζ

J=\frac{1}{\sqrt π}\int_{|ζ|≦R} e^{-ζ^2} \{a(x+2\sqrt{t}ζ)-a(x)\} dζ

M=||a||_{sup}とします。

εを任意にとります。

Rを十分大きく取ることにより、

|I|≦\frac{1}{\sqrt π}\int_{|ζ|≧R} e^{-ζ^2} |a(x+2\sqrt{t}ζ)-a(x)| dζ

≦\frac{2M}{\sqrt π}\int_{|ζ|≧R} e^{-ζ^2} dζ

≦\frac{ε}{2}

とすることができます。

また、

x\in [-L,L]

ならば、

0≦t≦1

とするとき、

x,x+2\sqrt{t}ζ\in [-L-2R,L+2R]

はコンパクトで一様連続になります。

したがって、先ほど固定したRに対して、

十分小さなδを選べば、

0≦t≦δ

のとき

|a(x+2\sqrt{t}ζ)-a(x)|≦\frac{ε}{2}

が成り立つようにすることができます。

このとき、

J≦\frac{1}{\sqrt π}\int_{|ζ|≦R} e^{-ζ^2}\frac{ε}{2} dζ

≦frac{ε}{2}\frac{1}{\sqrt π}\int_{-∞}^∞ e^{-ζ^2} dζ

≦\frac{ε}{2}

|u(t,x)-a(x)|=|I+J|

≦|I|+|J|

≦ε

t→∞のとき

u(t,x)a(x)に広義一様収束することがわかりました。