アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式⑭熱方程式のCauchy問題part2 Green関数

以前熱方程式のCauchy問題の定義と、最大値の定理を示しました。

この最大値の原理から、一意性や安定性が導かれます。

今日はその解を具体的な形で表現してみたいと思います。

まず、熱方程式のCauchy問題とは以下のような問題のことでした。

(1) \frac{\partial u}{\partial t}(t,x)=\frac{\partial^2 u}{\partial x^2}(t,x)(t≧0,x\in R)

(2)u|_{t=0} a(x) ,  (x\in R)

その解を構成していきます。

ディリクレ問題やノイマン問題のときと同じように、変数分離法を用います。

u(t,x)=η(t)φ(x)

と置くと

 \frac{\partial η}{\partial t}(t)=-λη(t)

\frac{\partial^2 φ }{\partial x^2}(x)=-λφ(x)

が得られます。(λは正の定数です。)

この2つの常微分方程式を解くと、一般解は

η(t)=Ce^{-λt}

φ(x)=Acos\sqrt λ x +Bsin\sqrtλ x

となります。

これらに初期条件を代入すると、

\frac{\partial φ }{\partial x}(x)=A\sqrtλ sin\sqrtλ x -B\sqrtλcos\sqrt λ x

\frac{\partial φ }{\partial x}(0)=A\sqrtλ=0

A=0

\frac{\partial φ }{\partial x}(0)=-B\sqrtλcos\sqrt λ=0

\sqrtλ=nπ

λ=(nπ)^2

|x|→∞で有界であるようなφ(x)を求めるために、

kを実数として、

λ=k^2

とおけば、

φ(x)=e^{ikx}

となります。

φ(x)=e^{-ikx}も解として可能ですが、kをすべての実数とすればφ(x)=e^{ikx}のみで十分であることがわかります。

このときη(t)

η(t)=e^{-k^2t}

と表現できます。

u_k(t,x)=e^{-k^2t}e^{-ikx}

このu_k(t,x)を適当に重ね合わせます。線型方程式なので重ね合わせも解になります。

u(t,x)=\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-k^2t}e^{-ikx}\overline a(x) dk

と置きます。

\overline aを適当に選んで、

u|_{t=0} a(x)

が成り立つようにします。

u(0,x)=\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-ikx}\overline a(x) dk

a\overline aのフーリエ逆変換になっています。

したがって\overline aaのフーリエ変換になっている必要があります。

\overline a(k)=\int_{-∞}^∞ e^{-ikζ}a(ζ)dζ

これをu(t,x)に代入すると、

u(t,x)=\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-k^2t+ikx} \{\int_{-∞}^∞e^{-ikζ}a(ζ)dζ\}dk

=\int_{-∞}^∞\{\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-k^2t+ik(x-ζ)}dk\}a(ζ)dζ

次に、t≧0,x\in Rに対し、

H(t,x)=\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-k^2t+ikx}dk

と定義します。

このとき、

u(t,x)=\int_{-∞}^∞ H(t,x-y) a(y) dy

となります。

Gaussの定積分

\int_{-∞}^∞ e^{-k^2} dk= \sqrt π

という事実を用いると、

H(t,x)=\frac{1}{2π} \int_{-∞}^∞ e^{-(k\sqrt t - \frac{ix}{2\sqrt t})^2} e^{-\frac{x^2}{4t}} dk

=\frac{1}{2π} e^{-\frac{x^2}{4t}} \int_{-∞}^∞ e^{-(k\sqrt t - \frac{ix}{2\sqrt t})^2} dk

s=k\sqrt t - \frac{ix}{2\sqrt t}

と置くと、

\frac{\partial s}{\partial k} =\sqrt t

H(t,x)=\frac{1}{2π} e^{-\frac{x^2}{4t}} \int_{-∞}^∞ e^{-s^2} \frac{ds}{\sqrt t}

=\frac{1}{2π} \frac{e^{-\frac{x^2}{4t}}}{\sqrt t} \int_{-∞}^∞ e^{-s^2} ds

=\frac{1}{2\sqrt{πt}} e^{-\frac{x^2}{4t}}

このH(t,x)をCauchy問題のGreen関数といいます。

次回はGreen関数の性質を見ていきます。