アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式⑪定常状態への遷移

今日は熱の拡散現象が十分長い時間経過した後の状態を考えます。

結論から言ってしまうと、最初は熱方程式を満たしていた系が、十分長い時間がたつと、Laplace方程式を満たすようになります。

すなわち、Laplace方程式は熱方程式の十分長い時間がたったバージョンの式であることがわかります。

では早速見ていきましょう。

 

定理

熱方程式のディリクレ問題

(1) \frac{\partial u}{\partial t}(t,x)=\frac{\partial^2 u}{\partial x^2}(t,x)

(2)u(t,0)=u(t,1)=0

(3)u(0,x)=a(x) 

の解u=u(t,x)t→∞のときに一様収束し、その速さは指数関数的です。

証明

ディリクレ問題の解は

u(t,x)=\sum_{n=1}^∞ α_n e^{-λ_nt} φ_n(x)

ただし、

φ_n(x)=\sqrt 2sin(nπx)

λ_n=(nπ)^2

α_n=(a(x),φ_n(x))=\int_0^1a(x)φ_n(x) dx

で与えられました。

証明はこちら↓

www.ruhamata.work

u(t,x)= e^{-λ_nt} \{α_1φ_1(x)+\sum_{n=2}^∞ α_n e^{-λ_nt} φ_n(x)\}

λ_n≧λ_1

であるから、定数c_1を用いると

|\{α_1φ_1(x)+\sum_{n=2}^∞ α_n e^{-λ_nt} φ_n(x)\}| ≦ \sqrt 2|α_1|+ \sum_{n=1}^∞ |α_n| \frac{c_1\sqrt 2}{\{λ_n-λ_1\}t}

となります。

また定数M_1を用いて

\sum_{n=1}^∞ |α_n| \frac{c_1\sqrt 2}{\{λ_n-λ_1\}t} ≦ \sqrt{\sum_{n=2}^∞ |α_n|^2} \sqrt {\sum_{n=2}^∞\frac{1}{(λ_n-λ_1)^2}}≦M_1||a||_{L_2}

となります。

したがって、\{\}の部分は0≦t_0≦tでは

適当な定数M=M(t_0)を用いることにより、

|u(t,x)|≦M(t_0)||a||_{L_2}e^{λ_1t}

となります。

すなわち、零境界条件の下で、t→∞のときに一様収束することがわかりました。

 

明日は、両端が0とは限らない場合のディリクレ問題の一様収束を見ます。