アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

Laplace方程式⑧強い意味での最大値の原理

以前、熱方程式と同様に調和関数に対して最大値の原理が成り立つことを確認しました。

その時の定理は以下のようになりました。

 

定理(調和関数の最大値・最小値の原理)

ΩR^n有界領域で、∂Ω はその境界である とする。

u\in {C(Ω)∩C^2(Ω)} Ω\Delta u = 0 を満たすならば、

max_{x\in \overline{Ω}}u(x) = max_{x\in∂Ω}u(x) 

min_{x\in \overline {Ω}}u(x) = min_{x\in ∂Ω}u(x) 

 

ここで注意しなければならないのは、

「調和関数の最大値・最小値は領域の境界の値によって到達する」

ということです。

「領域の境界の値のみで到達する」ということまではこの定理では主張していません。

 

しかし、実際には「領域の境界の値のみで到達する」ことが知られています。

今日はそれを示します。

 

定理(強い意味での最大値・最小値の原理)

Ωを境界Sによって囲まれるR^3有界領域とします。

uΩで調和であり、\overline Ωにおいて連続ならばuは定数関数である場合を除き、

Sの点においてのみ max_{x\in \overline Ω}u(x), min_{x\in \overline Ω}u(x)に到達します。

証明

M=max_{x\in \overline Ω}u(x)とします。

a\in Ωu(a)=Mとなれば、実はuはにおいて恒等的にMであるということを示します。

いま、aを中心として半径Rがである球KΩ内に含まれるとします。

Kの表面をΓとすれば、

u(a)=\frac{1}{4πR^2}\iint_Γ u(x) dS

であるので、

0=\frac{1}{4πR^2}\iint_Γ \{ u(a)-u(x)\} dS

ところが、u(a)=M≧u(x)\overline Ωにおいて成り立ち、

これはΓ上でも成り立ちます。

u(x)=M ,(x\in \{|x-a|=R\} )

いまδ(a)=d(a,S)と置けば、

R0≦R≦δ(a)である限り任意になります。

したがって

u(x)=M ,(x\in \{|x-a|≦δ(a)\} )

次にΩ内の任意の点bにおいて、

u(b)=M

であることを示します。

abΩ内を通る滑らかな曲線Cで結び、

CSの距離をδ_0と置きます。

Ω内のコンパクト集合ですので、となります。

Cのコンパクト性を用いると、

C上に有限個の点

a=x_1,x_2,...,x_n=b

をとり、x_jを中心とし、半径δ_0がである球K_jの内部に

x_{j+1}が属するようにすることができます。

そうすると、

K_0内で、u(x_1)=M

K_1内で、u(x_2)=M

これを繰り返すことにより、

u(x_n)=M

が得られます。

最小値についても同様に示すことができます。