今日は線型写像と1次独立について。
この二つは、線型代数を学ぶ上でも最も重要な概念かもしれません。
まずは定義から。
定義(線型写像)
に対し、が
を満たすことをいいます。
ベクトル空間(線型空間)の定義と同様に和とスカラー倍に関して演算が保たれている写像のことを線型写像といいます。
定義(1次独立)
n個のベクトルの組が1次独立(線型独立)であるとは、
で、
・・・(*)
なるの組が存在することです。
※の場合は、
という明らかな式になります。このような式を自明な関係式と呼びます。それに対して、(*)の式を'非'自明な関係式と呼びます。1次独立の定義として、「非自明な1次関係式を持たないこと」と表現されることもあります。
落書き(どっかの演習問題から抜粋です)
は
の線型写像であるとします。このとき以下が成り立ちます。
(1)が一次独立で
ならば、
も一次独立である。
(2)が一次独立ならば、
も一次独立である。
証明
まずは(1)について
より
が成り立ちます。また、
も成り立ちます。
次にが一次独立であるということから、
を満たす
の組は、
のみになることを確認しておきます。
いま、に対し、
を仮定します。
このとき、線型写像の性質から、となります。
より、
で写したときに
に写る元は
のみ。
したがって、
が一次独立より、
を満たす
の組は
のみなので、
を満たす
の組も
のみになります。
以上より、も一次独立であることが示されました。
次に(2)について
が一次独立なので、
を満たす
の組は
のみになります。
いま、を仮定しておきます。
線型写像の性質より、
したがって、
これを満たすの組は
のみになります。
以上より、
も一次独立であることが証明されました。