アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

線型代数②線型写像と1次独立

今日は線型写像と1次独立について。

この二つは、線型代数を学ぶ上でも最も重要な概念かもしれません。

まずは定義から。

定義(線型写像

V,W線型空間とします。写像f:V→W線型写像であるとは

に対し、f

f(a+b)=f(a)+f(b)

f(ka)=kf(a)

を満たすことをいいます。

 

ベクトル空間(線型空間)の定義と同様に和とスカラー倍に関して演算が保たれている写像のことを線型写像といいます。

 

定義(1次独立)

n個のベクトルの組{x_1,x_2,...,x_n}が1次独立(線型独立)であるとは、

c_1,c_2,...,c_n≠0で、

c_1x_1+c_2x_2+...+c_nx_n=0・・・(*)

なるc_i(i=1,2,...,n)の組が存在することです。

c_1,c_2,...,c_n=0の場合は、0×x_1+0×x_2+...+0×x_n=0という明らかな式になります。このような式を自明な関係式と呼びます。それに対して、(*)の式を'非'自明な関係式と呼びます。1次独立の定義として、「非自明な1次関係式を持たないこと」と表現されることもあります。

 

落書き(どっかの演習問題から抜粋です)

fR^n線型写像であるとします。このとき以下が成り立ちます。

(1){a_1,a_2,...,a_n}が一次独立でkerf={o}ならば、{f(a_1),f(a_2),...,f(a_n)}も一次独立である。

(2){f(a_1),f(a_2),...,f(a_n)}が一次独立ならば、{a_1,a_2,...,a_n}も一次独立である。

証明

まずは(1)について

kerf={o}より{f(a_1)≠o,f(a_2)≠o,...,f(a_n)}≠oが成り立ちます。また、f(o)=oも成り立ちます。

次に{a_1,a_2,...,a_n}が一次独立であるということから、

x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n=oを満たす{x_1,x_2,...,x_n}\in Rの組は、

x_1=0,x_2=0,...x_n=0のみになることを確認しておきます。

いま、{x_1,x_2,...,x_n}\in Rに対し、

x_1f(a_1)+x_2f(a_2)+...+x_nf(a_n)=oを仮定します。

このとき、線型写像の性質から、f(x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n)=oとなります。

kerf={o}より、fで写したときにoに写る元はoのみ。

したがって、x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n=o

{a_1,a_2,...,a_n}が一次独立より、x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n=oを満たすxの組はx_1=0,x_2=0,...x_n=0のみなので、

x_1f(a_1)+x_2f(a_2)+...+x_nf(a_n)=oを満たすxの組もx_1=0,x_2=0,...x_n=0のみになります。

以上より、{f(a_1),f(a_2),...,f(a_n)}も一次独立であることが示されました。

次に(2)について

{f(a_1),f(a_2),...,f(a_n)}が一次独立なので、

x_1f(a_1)+x_2f(a_2)+...+x_nf(a_n)=oを満たすxの組は

x_1=0,x_2=0,...x_n=0

のみになります。

いま、x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n=oを仮定しておきます。

線型写像の性質より、

o=f(o)

=f(x_1a_1+x_2a_2+...+x_na_n)

=x_1f(a_1)+x_2f(a_2)+...+x_nf(a_n)

したがって、

x_1f(a_1)+x_2f(a_2)+...+x_nf(a_n)=o

これを満たすxの組はx_1=0,x_2=0,...x_n=0のみになります。

以上より、

{a_1,a_2,...,a_n}も一次独立であることが証明されました。