アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

Laplace方程式②最大値・最小値の原理

今日はLaplace方程式の最大値の原理についてです。

熱方程式の時と同じように、Laplace方程式においてもこの最大値・最小値の原理を基に、解の一意性や正値保存性などが導かれます。

それでは見ていきましょう。

 

定理(調和関数の最大値・最小値の原理)

ΩR^n有界領域で、∂Ω はその境界である とする。

u\in {C(Ω)∩C^2(Ω)} Ω\Delta u = 0 を満たすならば、

max_{x\in \overline{Ω}}u(x) = max_{x\in∂Ω}u(x) 

min_{x\in \overline {Ω}}u(x) = min_{x\in ∂Ω}u(x) 

すなわち、有界閉領域における調和関数の最大値と最小値は、その境界によって到達されるということです。

証明

最大値の場合のみ示します。

一般性を失うことなく、原点OΩに含まれると仮定できます。正の数lを十分大きく撮り、原点を中心とし半径がlの球の内部にΩが含まれるようにします。

(Ωを半径lの球で包むということです。)

εを任意にとり、補助関数vを以下のように定義します。

v(x) := u(x)−max_{x\in ∂Ω}u(x)+ ε(|x|^2 −l^2)

x\in {\overline {Ω}}ならば、|x|≦lなので、右辺の第3項は正になりません。このことから、vは境界∂Ω上で正にならないことがわかります。

よって、もしv\overline{Ω}で正の値をとるならば、それはΩの点においてのみであるが、これは不可能です。

なぜならば、vが正の値を取り得るとすれば、vΩのある点P_0で正の最大値をとります。このとき、P_0においては

\Delta v≦0 ・・・(*)

が成り立つ。

(最大値をとる点なので、それぞれの変数における2階偏微分は負になります。)

ところが、\Delta vを実際に計算すると、

\Delta v=\Delta u+ε\Delta |x|^2=0+6ε=6ε>0

となり、(*)に矛盾します。

以上の議論より、v(x)≦0     (x\in\overline{Ω})が示されました。

したがって、

u(x)−max_{x\in ∂Ω}u(x)+ ε(|x|^2 −l^2)≦0

ε→0とすると

u(x)≦max_{x\in ∂Ω}u(x)    (x\in\overline{Ω})

逆は明らかなので、

max_{x\in \overline{Ω}}u(x) = max_{x\in ∂Ω}u(x) 

以上により最大値・最小値の原理が示されました。

 

この定理の主張は、

「調和関数の最大値・最小値は領域の境界の値によって到達する」

ということです。

「領域の境界の値のみで到達する」

わけではないので注意してください。

※実際にはそうなるのですが、この証明ではそこまでの主張はしていません。それゆえ、この定理は「弱い意味での」最大値・最小値の原理と呼ばれることもあります。「強い意味での」最大値・最小値の原理は今述べたように、境界の値のみで到達するということを主張した定理になります。こちらの証明はやや難しく、手間がかかるため、後日時間があるときにやってみたいと思います。