アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式⑧Green関数

以前熱方程式を考察する過程でフーリエ級数という考え方が生まれたことを紹介しました。

その記事はこちらです。

www.ruhamata.work

フーリエ級数とは簡単に言うと熱方程式の特殊解を無限に重ね合わせることで得られる一般解のことでした。

例えば、以下の熱方程式

(1) \frac{\partial u}{\partial t}(t,x)=\frac{\partial^2 u}{\partial x^2}(t,x)

(2)u(t,0)=u(t,1)

(3)u(0,x)=a(x) 

の解は、

u(t,x)=\sum_{n=0}^∞ α_n e^{-λ_nt} φ_n(x)

で表されました。ただし、

φ_n(x)=\sqrt 2sin(nπx)

λ_n=(nπ)^2

α_n=(a(x),φ_n(x))=\int_0^1a(x)φ_n(x) dx

としました。

u(t,x)aの関係をもっと直接的に書き表したいと思います。

K(t,x,y)=\sum_{n=1}^∞ e^{-λ_nt} φ_n(x)φ(y)

と定義することにします。

 0では右辺がx,yについて一様収束します。(証明は割愛)

\int_0^1 K(t,x,y) a(y) dyを計算してみると、

\int_0^1 K(t,x,y) a(y) dy

=\int_0^1 \sum_{n=1}^∞ e^{-λ_nt} φ_n(x)φ_n(y)

=\sum_{n=1}^∞ (e^{-λ_nt} φ_n(x)\int_0^1 a(y)φ_n(y)dy)

=\sum_{n=1}^∞ (e^{-λ_nt} φ_n(x)α_n)

=\sum_{n=0}^∞ α_n e^{-λ_nt} φ_n(x)

=u(t,x)

 u(t,x)=\int_0^1 K(t,x,y) a(y) dy

このK(t,x,y)のことを初期値・境界値問題(1)~(3)のGreen関数と呼びます。

 

Green関数K(t,x,y)の性質

K(t,x,y)=K(t,y,x)

K(t,x,y) ≧ 0

\int_0^1 K(t,x,y)a(y) dy ≦ 1

a \in C^1[0,1],a(0)=a(1)=0 ならば、

\int_0^1 K(t,x,y)a(y)dy → a(x)   (t→0)

 

証明

①はほとんど明らかなので省略します。。

②について。

まず、次のような関数η=η(x)を一つ定めます。

η(x)≧0   (η∈C^1[-∞,∞)]

η(x)=0    (|x|≧1)

\int_{-∞}^∞η(x) dx=\int_{-1}^1η(x) dx=1

次に、εを、正のパラメータとして、

η_ε(x)=\frac {1}{ε}η(\frac {x}{ε})

と定義すればη_ε(x)の台は[-∞,∞]に含まれ、かつ

\int_{-∞}^∞ η_ε(x) dx = \int_{-ε}^ε η_ε(x) dx =1

です。f=f(x)y=0の近傍で連続ならば、

(f, η_ε)=\int_{-ε}^ε f(y)η_ε(y) dy →0    (ε→0) 

であることがわかります。

同様に、y_0を定数とするとき、fy_0の近傍で連続ならば、

\int_{y_0-ε}^{y_0+ε} f(y)η_ε(y-y_0) dy→f(y_0)  (ε→0)

が成り立ちます。

さてy_0\in(0,1)を固定して、

u_ε(t,x)=\int_0^1 K(t,x,y)η_ε(y-y_0) dy

とおきます。

εが十分小さければ、このu_εは初期値η_ε(-y_0)に対する初期値・境界値問題(1)~(3)の古典解です。この初期値は負にならないので、正値保存性の法則により、

u_ε(t,x)≧0

となります。

ここでε→0とすると、t≧0ではK(t,x,y)は連続なので、

u_ε(t,x)→K(t,x,y_0)

であることがわかります。

したがって、

K(t,x,y_0)≧0

y_0の任意性より、②が示されました。

 

少し長くなったので③、④は後日示したいと思います。