アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

陰関数定理と逆写像定理

僕の専攻とはあまり関係ないのですが、複素多変数関数という分野がありまして、ある方がその内容について卒業研究を行っています。よく一緒にセミナーの準備を行うのですが、今日は複素多変数関数における陰関数定理と逆写像定理の証明を行いました。

実関数におけるこの2つの定理の証明は針とどの教科書にも載っているのですが、複素関数となると、なかなか載っていなくて自分たちで証明を付けることになりました。

函数定理 ― f: Rn+mRm連続的微分可能で、Rn+m は座標系 (x, y) を持つとする。点 (a, b) = (a1, …, an; b1, …, bm)f(a, b) = c (cRm) を満たすものを固定する。このとき、行列 (∂fi∂yj(a, b))i,j正則ならば、a を含む開集合 U, b を含む開集合 V および一意的な連続的微分可能函数 g: UV

{ ( x , g ( x ) ) x U } = { ( x , y ) U × V f ( x , y ) = c } {\displaystyle \{(\mathbf {x} ,g(\mathbf {x} ))\mid \mathbf {x} \in U\}=\{(\mathbf {x} ,\mathbf {y} )\in U\times V\mid f(\mathbf {x} ,\mathbf {y} )=\mathbf {c} \}}

を満足するものが存在する。

 上の引用が一般的な解析の教科書に載っている陰関数定理のステートメントなのですが、今回はこの写像が正則関数であることを示すまでがセットになっていました。数学書ではお決まりの「明らかである」が発動し、ほとんどの教科書で証明がされていませんでした。(ちなみに定理のステートメントにある行列の正則性と正則関数は別物です)

この証明方法を考えたのですがなかなか面白い考えで、自分の卒業研究の内容にも通づるものがあったので描いてみたいと思います。

z*を複素数zの複素共役とすると、コーシー・リーマンの関係式からf(z)が正則であることと、df(z)/dz*=0となることがわかります。今回は上の定理に登場するgが正則であることを言いたいので、dg(z)/dz*=0を示せば良いわけです。

ただ直接gをz*で微分するのは難しいので、f(z,g(z))をz*で偏微分していく手段をとりました。fもgもベクトル関数だと思って偏微分を繰り返し、ヤコビ行列の正則性を用いてgの正則性を示しました。

なかなか難しい骨の折れる作業でしたが、ものすごく勉強になるいい問題でした。複素解析を勉強中の方や微分積分の発展的な問題を解いてみたい学部1年生の方にぜひやっていただきたい証明です。