アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

学習指導要領の改訂について一言申したい

学習指導要領は定期的に改訂があります。いろいろな理由があって、時代の変化に合わせて学ぶべき内容も変化すべきであるという考えから、定期的に見直すというのが表向きの理由で、現実的には役人の実績づくりだったり政治家のパフォーマンスだったりします。

小学校では来年度から、中学校では再来年度から、高校ではその次の年から学習指導要領が改訂されることになります。「主体的・対話的で深い学び」というキャッチフレーズの下、大きな改革をするようです。

今回の改訂で僕が気になることは、高校数学からベクトルが消えたことです。厳密には消えたわけではありませんが、数学Cに移動になりました。数学Cは理系の生徒しか受けない科目です。つまり、、、

文系の生徒はベクトルを勉強しないで高校を卒業していくのです

僕はすべての人間がベクトルや微分積分を知っておくべきなんていうつもりは毛頭ございません。しかし、しかしですよ、多くの人がベクトルって言葉すら知らない世の中どうですか?

「あいつとはベクトルが合わない」

なんて会話が死語になるかものです。もちろん理系の方が知っているからそんなことにはならないでしょうが。

そして、ベクトルの代わりに統計が必修化されるようです。統計が役立つからという理由で統計を入れよう!!といった経緯があったのでしょう。(勝手な推測です)

確かに近年人工知能ビッグデータが台頭し、統計学を学ぶ必要性が出てきたことは間違いありません。統計学を学ぶ意義は十分にあります。しかし個人的には統計は大学に入ってから学べばいいと思ってます。積分の使えない統計など意味がない。数学2で初歩的な積分は学習しますがほとんどの生徒が積分と面積の関係を完璧に理解できません。そんな状態で区間推定などの概念を伝えるのは無理があると思います。

また、本格的に統計を使いこなすとなるとどうしても変数がふえてしまいます。そうなると多変量解析の手法に頼らざるを得ず、結果としてベクトルや行列の知識が必要になるのです。そう考えると、ベクトルを外して統計という考えには妥当性があると思えないのです。

 

そして、もう一つ大きな問題があります。

「物理はどうするの?」

今現在も高1生に物理を指導する際には、ベクトルの概念がない生徒にどうにかして力学の考え方を教えているという状況だと思います。それは、物理の最初の段階であって、まだ理解できる内容だから通用することであって、内容が発展的になってくるとベクトルを知らないとどうにもならない状況に陥ることは目に見えています。物理を履修る生徒はほとんどが理系だから大丈夫だろうという意見もありますが、高3でやるのはいんじゃないかと思ったり思わなかったり。多くの高校では2年でベクトルだけをやるというような対応をすることが予想されますが、本来学校側が指導方法を考える手間を省くための学習指導要領のはずなのにこれでは本末転倒です。

結論として僕は今回の改定案にはあまり賛同できない点が多いです。

「役に立つ」ことのみに注目する風潮は小学校のプログラミング学習の必修化にも共通う部分があります。しかし、学校は「役に立つ」ことを学びに行くところではないと思うのです。様々なことを授業や友人達との交流を通して学び、それが結果として役立てば良いのではないかと。そのためには広く物事に触れる機会がないといけません。大人が役に立つとか役に立たないということを勝手に判断して子供が学ぶ権利を奪うことになるのだけは避けてほしいところです。

と、まだ働いたことのない大学生が偉そうに語ってみました。また働いてみたら考えが変わるのかもしれませんね。