アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式②フーリエ級数part2

こんにちは

今日は昨日の続きです。前回はある関数を三角関数の定数倍の無限和であらわすことができることを見ました。今回はより踏み込んで、三角関数がベクトル空間の基底となり得ることを見ます。

www.ruhamata.work

L_2空間にいて
ベクトル空間というとR^nなどを思い浮かべると思います。そこに内積などの構造を加えることにより、数学的な解析を行います。例えばR^2上の二つのベクトルa=(2.3)b=(5.4)を考えます。
(a,b)=2×5+3×4などと定義すると、
||a||=(a,a)
||b||=(b,b)
といったようにノルム等も定義できます。
三角関数のような連続関数にもノルムや内積を定義したいわけです。上の定義に近い形を考えると通常の掛け算各点で行い、それを足し合わせるという感じに定義をすることが自然な定義の仕方のように思われます。
f(x),g(x)[0,1]上の連続関数とします。
内積(f,g)

(f(x),g(x))=\int_0^1 f(x) g(x) dx

と定義します。この定義は内積の公理を満たしています。関数にもノルムを定義しておきます。

||f(x)||^2=(f(x),f(x))=\int_0^1 f^2(x) dx

と定義すると、これはノルムの公理を満たしています。このノルムをL_2[0.1]ノルムといいます。上のように定義したノルム、内積の構造が入った空間をL_2[0.1]空間といいます

sin(nπx) (n=1.2…)の直交性

いよいよ三角関数がベクトル空間の基底となっていることをみたいと思います。それもただの基底でなく直交基底となってます。また、適当な定数倍をかますことによりノルムを1とすることも容易なので、正規直交基底となります。(厳密には正規直交系と呼びます。)まず、相異なる任意の自然数n,mに対して、内積(sin(nπ),sin(mπx))を考えます。

(sin(nπ),sin(mπx))=\int_0^1 sin(nπx) sin(mπx) dx

               =\frac{1}{2}\int_0^1\{cos(m-n)πx-cos(m+n)πx\}dx

                                    =0

よって任意のn≠mに対して、内積0。以上の計算により直行性が示されました。

ついでにノルムを測って正規化しておきましょう。

任意のnに対して

||sin(nπx)||^2=\int_0^1 sin^2(nπx) dx

                             =\frac{1}{2}\int_0^1 \{1-cos(2nπx)\} dx

                             =\frac{1}{2}

||sin(nπx)||=\frac{1}{\sqrt2}

従ってφ_n(x)=\sqrt2sin(nπx)と定義するとφ_n(x)L_2[0.1]上の正規直交系となります。

 

今日はL2空間の定義と性質、三角関数が基底となりうるということを確認しました。数学の一つの分野に「関数解析」という分野があります。よく関数解析は無限次元の線形代数であるなどの言われ方をするのですが、初めて聞いた方は何を言っているかよくわからないと思います。要は今まではR^nの元を基底としてベクトルを表現していたものを関数を基底として表現しようというモチベーションのもとに産まれた学問なのです。(間違っていたら指摘お願いします)