アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

熱方程式①フーリエ級数

こんにちは

フーリエ級数についてです。工学部や物理学科の方は学部の2.3年生で履修する科目じゃないでしょうか?実は大学にもよりますが多くの大学の数学科では学部のうちに履修することほとんどないようです。僕の研究室のはテーマが偏微分方程式なので必然的に自分で学習することになります。数学的にデリケートな部分(極限と積分の取り換えなど)に目をつぶって考えるとそこまで理解に苦しむ理論ではないと思います。(もちろん突き詰めるとものすごく難しい理論です)僕的には三角関数の波のグラフを重ね合わせることで世の中にある関数の多くを表現することができるという事実は何回聞いても驚くばかりです。今日は高校数学の知識(もしかしたら学部1年の微分積分の知識)のみでフーリエ級数とはどのようなものかということについて説明していきたいと思います。

以下Wikipediaより引用です。

フーリエ級数フーリエきゅうすう、Fourier series)とは、複雑な周期関数や周期信号を、単純な形の周期性をもつ関数の(無限の)和によって表したものである。フーリエ級数は、フランスの数学者ジョゼフ・フーリエによって金属板の中での熱伝導に関する研究の中で導入された。 "

おそらくこれで理解できる方はこの記事を読んでいないでしょう。この文の意味を僕なりに説明したいと思います。まず、フーリエ級数とは熱方程式の解を考える段階で発見されました。熱方程式のことについては以前投稿しましたのでそちらを参照していただければと思います。

www.ruhamata.work

理系の方にとって級数展開といって最初に頭に浮かぶことはテーラー展開だと思います。テーラー展開はある関数のある点の近傍上での近似を多項式によって行うというものでした。例えば

e^x=1+\frac{x}{1!}+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+・・・

といった感じで指数関数や三角関数などを多項式の和として表すことによって考えやすくするということでした。指数関数や三角関数の任意の点での値を計算することは非常に難しいです。例えばe^xという関数のx=1x=2という点での値を求めることは比較的容易なのですがx= \frac{1}{2}などの点の計算となった途端にものすごく困難なものとなります。しかし多項式ではどのような数でも高々n回の掛け算を実行することで求めてしまうことができます。よって関数を多項式によって近似するということは実用上きわめて重要なのです。(テーラー展開は無限和を考えるともはや近似ではありませんがまぁその話は置いておきましょう)

フーリエ級数展開もモチベーションは同じです。関数を三角関数の無限和によって表現してしまおうという考えから生まれた理論です。

熱方程式

 \frac{\partial u}{\partial t}(t,x)=\frac{\partial^2 u}{\partial x^2}(t,x)

の特殊解は

u(t,x)=e^{-k^2t}\{Asin(kx)+Bcos(kx)\}・・・①

で与えられます。(導出は上のリンクの投稿を参照してください。)

ここで、k,A,Bは定数です。三角関数の合成により、ある定数Cがあって、

u(t,x)=Ce^{-k^2} sin(kx)・・・②

とすることができます。定数は適当に調整するを①と②は本質的に同じものとすることができます。この解の中に三角関数が含まれていることがみてわかります。熱方程式は線型の微分方程式ですので解を重ね合わせることにより一般解を求めることができます。この過程で三角関数のみに注目するとk=1.2.3...に対して

c_1 sin(1x)+c_2 sin(2x)+c_3 sin(3x)+・・・

となっています。ここで、c_1,c_2,c_3,・・・は定数です。

このようにある関数を定数×三角関数の和で書き下すことをフーリエ級数といいます。すなわち三角関数がベクトル空間の基底となっています。また、kはすべての実数値をとります。すなわちこのベクトル空間は基底が無限個存在するのです。よってこのベクトル空間の次元は∞、無限次元のベクトル空間となります。

長くなりましたが本日はここまでになります。三角関数がベクトル空間の基底になっている事の確認と無限次元のベクトル空間の性質についてみていきたいと思います。