アマチュア数学者の日記

とある大学で数学を学んでいます。専門は偏微分方程式です。高校野球、マラソン、カメラ、数学、etc...多趣味です。様々なことを書いていきます。

偏微分方程式

勾配(gradient)の極座標変換を求めたい(n次元)

あけましておめでとうございます。最近全く投稿していませんでした。ついに友人から「投稿しないの?」という恐怖の催促をもらったので本気を出したいと思います。タイトルにある通りgradientの極座標を求めてみます。もちろんn次元です。なぜそんなものを求…

Laplace方程式⑮球におけるディリクレ問題part2

前回の続きです。 前回の記事はこちら↓ 今日は、 を示します。 を具体的に計算するために、 (のなす角) と置きます。 がであることに注意すると、 ∴ 一方、Green関数の補正関数をで表せば、 ∴ これらの結果を用いて、 右辺はに対して定義された関数ですが、…

Laplace方程式⑭球におけるディリクレ問題

今日は球におけるディリクレ問題のうち境界でをとるとは限らない一般の場合についての解の表示を考えます。 まずは設定から。 とします。 この球におけるディリクレ問題を次のように定義します。 は連続関数です。このような問題が与えられたときの解の表示…

Laplace方程式⑬Green関数の性質

前回まで鏡像の方法を用いて、Green関数を導きました。 今日はGreen関数の性質を見ていきましょう。 まずは定義から。 定義(一般の領域に対するGreen関数) におけるディリクレ問題 に対し、 で定義されたがGreen関数であるとは、 以下の(1)~(3)を満たすこと…

Laplace方程式⑫鏡像の方法part3

前回までの続きになります。 前回までの記事はこちら↓ www.ruhamata.work www.ruhamata.work がで連続であり、において境界値がのなることを確かめます。 まず、 を示します。 より、 を固定し、十分小さなに対して、 を定義すれば、外側の境界では また、で…

Laplace方程式⑪鏡像の方法part2

昨日の続きです。 昨日の記事はこちら↓ www.ruhamata.work 次にがに対してになることをみます。 とし、2つの単位ベクトル を定めます。そうすると、 一方、 ∴ ∴はに対してになります。 いま、をについて重ね合わせた形の次の関数を考えます。 ただし、 とし…

Laplace方程式⑩鏡像の方法

今日は鏡像の方法を紹介します。 物理(特に電磁気学)なんかではよくつかわれる方法のようです。 数学的にはこの方法を用いてLaplace方程式に対してのGreen関数を導くことができます。 まず、物理的な背景から導入します。 いま、真空の半空間 の1点に、点…

熱方程式⑯Cauchy問題の解の存在

前回、前々回はCauchy問題の解を構成するためにGreen関数というものを構成しました。 そのGreen関数 を用いてCauchy問題の解は と書けました。 今日は逆にこの解がCauchy問題 (1), (2) を満足することを確認します。 定理(Cauchy問題の解の存在) を有界な連…

熱方程式⑮Cauchy問題part3 Green関数の性質

前回、熱方程式のCauchy問題 (1), (2) の解を構成しました。 その結果、解は を用いて と表現することができることがわかりました。 今日はこのの性質を見ていきましょう。 の性質 (1)に対し、 (2) とくに、 (3) とくに、 (4)では、はの級関数で、 熱方程式…

熱方程式⑭熱方程式のCauchy問題part2 Green関数

以前熱方程式のCauchy問題の定義と、最大値の定理を示しました。 この最大値の原理から、一意性や安定性が導かれます。 今日はその解を具体的な形で表現してみたいと思います。 まず、熱方程式のCauchy問題とは以下のような問題のことでした。 (1), (2) その…

熱方程式⑬定常状態への遷移part3

これまで2回にわたって熱方程式が十分時間が経つと定常状態へ遷移することがわかりました。 今日は最後に領域の内部に熱源があり、さらに境界で熱が出入りしている場合についてみていきます。 そのような場合をまとめると以下のようになります。 (1) (2) (3)…

熱方程式⑫定常状態への遷移part2

昨日の続きです。 今日は熱方程式のディリクレ問題の境界条件が0でなく、熱源が密度で分布している一般の場合についてです。 定理 (1) (2) (3) の解はのときによらない関数に一様収束し、その速さは指数関数的である。 証明 いま、]で定義された未知関数に対…

熱方程式⑪定常状態への遷移

今日は熱の拡散現象が十分長い時間経過した後の状態を考えます。 結論から言ってしまうと、最初は熱方程式を満たしていた系が、十分長い時間がたつと、Laplace方程式を満たすようになります。 すなわち、Laplace方程式は熱方程式の十分長い時間がたったバー…

Laplace方程式⑨球面平均の定理の逆

今日は球面平均の定理の逆を示したいと思います。 この定理を示すことにより、調和関数であることと、球面平均の公式を満たすことが同値であることがわかります。 定理 をの任意の領域とします。 はで連続で内に含まれる任意の球 に対して、 が成り立つとし…

Laplace方程式⑧強い意味での最大値の原理

以前、熱方程式と同様に調和関数に対して最大値の原理が成り立つことを確認しました。 その時の定理は以下のようになりました。 定理(調和関数の最大値・最小値の原理) はの有界領域で、 はその境界である とする。 が で を満たすならば、 ここで注意しなけ…

Laplace方程式⑦調和関数の球面平均

今日は調和関数の球面平均の定理をみていきます。 実は正則関数についても同様のことが成り立ちます。 正則関数であることと、実部・虚部が調和関数であることは同値だったので当たり前のような気もしますが、実際に成り立つことを示したいと思います。 定理…

熱方程式⑩熱方程式のCauchy問題

久しぶりに熱方程式について書きたいと思います。 前回まで、熱方程式の考察の対象として、以下のようなディリクレ問題 (1)= (2)= (3)= やノイマン問題 (1)= (2)== (3)= を対象にしていました。 今回は熱方程式の定義域を無限に広げたバージョンについてみて…

Laplace方程式⑥調和関数に対するリウビルの定理

今日は調和関数における有界な関数についてみていきます。 その中でもタイトルにあるリウビルの定理について。 リウビルの定理といえば複素解析などの授業で証明した方も多いと思います。 複素解析で登場したリウビルの定理のステートメントを書いておきます…

Laplace方程式⑤Newtonポテンシャルとポアソン方程式

今日は、Newtonポテンシャルについて。 定義 を有界領域、をの有界な連続関数とします。 によって定義されるのことを密度を持つNewtonポテンシャルと呼びます。 Newtonポテンシャルの最も重要な性質として、ポアソン方程式 を満足することが挙げられます。 …

Laplace方程式④Laplace方程式の基本解

定義 一般に、を変数とする偏微分作用素に対し、 を満足するの関数をを特異点とするの基本解といいます。 がLaplace方程式の解になることは以前確認しました。 の最も重要な性質は、 と表すことができることです。 今日はこれを導きたいと思います。 に対し…

熱方程式⑨Green関数(続き)

こんにちは 久しぶりの投稿になります。教育実習も終わり一息ついたところなので、今日からまたブログの方を再開したいと思います。 今日は熱方程式⑥で扱ったGreen関数の性質の証明の続きをやりたいと思います。 前回の記事はこちら www.ruhamata.work Green…

Laplace方程式③解の一意性

今日はLaplace方程式の解の一意性についてです。 前回は、最大値・最小値の原理を示しましたが、これを用いて簡単に示すことができます。 定理(ディリクレ問題の解の一意性) Laplace方程式の内部ディリクレ問題 () ( ) の解は一意である。 証明 を上の条件を…

Laplace方程式②最大値・最小値の原理

今日はLaplace方程式の最大値の原理についてです。 熱方程式の時と同じように、Laplace方程式においてもこの最大値・最小値の原理を基に、解の一意性や正値保存性などが導かれます。 それでは見ていきましょう。 定理(調和関数の最大値・最小値の原理) はの…

ディラックのデルタ超関数

こんにちは 今日は偏微分方程式を考えるうえで何度も登場するデルタ関数について紹介します。 デルタ関数とは デルタ関数は超関数と呼ばれるものの一種です。物理では、本来はものすごく狭い(例えば電子のようなものです。ですが、いくら小さくても点ではな…

熱方程式⑧Green関数

以前熱方程式を考察する過程でフーリエ級数という考え方が生まれたことを紹介しました。 その記事はこちらです。 www.ruhamata.work フーリエ級数とは簡単に言うと熱方程式の特殊解を無限に重ね合わせることで得られる一般解のことでした。 例えば、以下の熱…

熱方程式⑦ノイマン問題の解の一意性

以前から熱方程式の記事について書いています。 以前までは以下の熱方程式を考察の対象にしていました。 (1)= (2)= (3)= 上の(1)~(3)を満たす熱方程式の初期値・境界値問題を熱方程式のディリクレ問題といいます。 今日は、 (1) (2) (3) 上の(1)~(3)を満た…

Laplace方程式①Laplace方程式とは

今日から熱方程式と並行してLaplace方程式についても書いていきたいと思います。 だんだん僕の備忘録と化している感じがしますが、お付き合いください。。。 このブログで何回も登場していますが、熱方程式とは = を満たす方程式のことでした。このブログで…

熱方程式⑥L2ノルムに対する解の安定性

今日も熱方程式についてです。まさか熱方程式について4回も書くとは思ってもいませんでした。今日はノルムに対しても安定となることを見ていきたいと思います。 ノルムについてはフーリエ級数のところで書きましたのでそちらを参照していただければと思いま…

熱方程式⑤解の安定性

今日も前回に引き続き、熱方程式の話です。 前回の記事はこちら www.ruhamata.work 今日は解の安定性について。まず、解が安定であるということと、問題が適正(well-posed)であることの定義から。 定義① 一般に数理物理の問題において、適当なノルムで測った…

熱方程式④最大値の原理からわかること

前回に引き続き、熱方程式についてです。 前回の記事はこちら www.ruhamata.work 実は最大値の原理から解の一意性や保存性が導かれます。前回の定義・定理のステートメントを引用しておきます。 定義① 任意の正の数に対して、 ] , とします。が熱方程式 = の…